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 今週のコラム  

「個性を伸ばす」 米石 達也

 「できないことをできるように一生懸命指導する。」ことは放棄してしまっていいのではないかと最近思っています。「できないことはできるようになるまで待ってやればいい。」というのが最近の私の考え方です。できないことは,短所です。人より興味を持てる何かが,長所です。
  短所を鍛えて長所になった生徒を見たことがありません。短所は大人になってもやっぱり短所で,大人になれば多少ましになってくる程度のことです。生徒の短所を何とかしようと腐心するよりも,生徒の長所を伸ばすことに一生懸命力を注ぎこむことの方がその生徒の成長につながると思っています。つまり,個性を光らせるということです。遅刻をしてくる生徒に毎朝遅刻を咎める指導を繰り返すより,その生徒が絵を描くことを得意としていたら,絵が上手であることをひたすら褒めて,長期休業のしおりの表紙絵をお願いして,クラスの友人たちからも認められたら,今度は合唱コンクールのポスターの担当に推薦されるかもしれません。遅刻はするけど,絵の上手い生徒であれば,それがその生徒の個性になるし,それで仲間たちから感謝され認められる存在になります。遅刻なんて,指導しなくたってやがて大人になって分別がつくようになれば多少ましになるし,大人でも時間にルーズな人は数多くいるけれど,彼らの中学校時代の教師の指導に問題があったとは到底思えません。
      
 教室に行けない生徒もそうです。今は行けないだけで,いつかは変わる可能性があります。たかが学校に行けないこ とや教室に入れないことで自己肯定感を下げる必要など全くないと思うのです。しかし,何に興味があって,何が長所なのかを一緒に探してやることは大切だと思っています。長所は,その生徒にとって将来働くための武器になる可能性があるからです。

 

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