今週のコラム
「職責と研修について」 清水 敦史
ここ数年,働き方改革が進んでいます。このタイミングを逃すと変えられるものも再び変えにくくなると思います。ところが,教師の多岐にわたる業務を整理する中で,「枝葉」ではなく「根幹」にかかわる業務の削減を提案する資料を目にすることがあります。もっとも危惧していることは学習指導にかかわる教師の学ぶ機会の削減です。「研修を減らす」「授業研を減らす」等々,教師自身が教師の存在意義を放棄することにつながらないか心配です。
「学力低下はみられず」。これは,令和3年度全国学力・学習状況調査の結果に基づいた報道です。全国学力の結果は,学力の一側面でしかありませんが,授業改善を考えるうえで大事な一側面でもあります。うがちすぎな見方ですが,コロナ禍での臨時休校等により,対面での授業からオンライン視聴やプリント等による自宅学習の時間が急激に増加しました。その結果,学力の低下がみられなかったということは,これまでの対面での授業の質や,教師が児童生徒の反応を見ながら学習指導を行う意義などがどうだったのか,いろいろと考えてしまいます。
過日,「指導者によって,教わった人の将来の年収がかわる」という話を伺いました。調査の原文にあたっていないため,どのように導かれた考察なのかは不明です。しかし,収入面だけではなく,その人らしい生き方にもつながるとすれば,教師が職責を全うするための研修とは真摯に向き合わなければならないと思います。
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