今週のコラム
「大切な時間~お茶を一煎さしあげます~」 大友奈緒
朝,お湯を沸かし,丁寧にお煎茶を急須にいれます。湯冷ましにお湯を入れ,60~70℃になったところでゆっくりと急須にお湯を注ぎます。そして,湯のみ茶碗に均等になるようにお茶を入れます。この所作を行うことで,1日が始まっています。
お煎茶はたっぷりのお湯で,ゆっくりいれるとおいしくなります。私が日常使いしているお茶は,八女茶の「かりがね」です。苦みとともに甘みのある味わいで,うまみを感じることができる種類。お湯の温度の違いや所作の差異で,苦みを引き出すことも,甘みを引き出すこともできます。生活の変化がある中でも,この所作と喫茶は変わらずに続けています。
私は,日本礼道小笠原流という流派で,お茶を楽しんできました。その魅力は,毎日の生活の中で楽しめるところと同じ茶葉でも,所作により,味が全く変わるところです。甘みと苦みとうまみの調和が煎茶のおいしさの秘訣です。先人は,これを引き出すために,お点前という型として,継承してきました。そこに点前さん(お茶をいれる人)の甘み・苦み・うまみを引き出す技が加味され,おいしいお茶となります。とても理にかなった点前に,煎茶道の奥深さを感じ,人の成長との共通点を感じています。
これからも,おいしいお茶をいただく時間を大切にしていきます。