今週のコラム
第32回 「SNS使えない老人が近頃思うこと~二宮金次郎の像は何処に~」 石井成二
ある団体の令和4年度事業計画を読んで強く感じた事です。
薪を背負い、大学という書物を読む姿が教育の現場から消えて久しい。一昨年小田原で二宮金次郎の映画が制作されたと聞き、資料を取り寄せたのですが、江戸時代末期に八千代を訪れ、印旛沼堀割り普請のための現地調査を行なっていたという事を知りました。
江戸時代財政破綻をした各藩の立て直しに、徹底的な現地調査と「分度」という身の丈に合った財政政策を進めた人物に、戦後の教育現場は何故背を向けてしまったのでしょうか。
市内では創立150周年を迎える学校があります。記念事業のため会議に参加する機会がありましたが、関係者の多くが転入者という事で、学校の歴史や地域社会の伝統や文化に関する知識を有しない事が判りました。
人から人へ伝えられる文化や伝統が、この様な現状では引き継ぐことは無理だと思います。この様な状況が二世代も続けば、地域社会と教育現場の乖離が進むばかりだと思いました。
翻って市政を見れば市民の多くが転入者であり、教育現場の状況と同様の状況ではないでしょうか。行政に携わる者も、市の現場と現状を把握する事なくマニュアル通りの計画作成に陥っていないか心配になります。
二宮金次郎の実践から学ぶことは多いと思います。現場こそ、政治や経済そして教育の原点です。大変なことではありますが事実から導き出される事に目を凝らし、対応を図る時が今ではありませんか。